空と樹と


空と樹と」 文・長田弘/画・日高理恵子

この本は、私を私の居場所に戻してくれる。

居場所っていうのは、何かしっくりくる、皮膚が安心するようなところ。

長田弘さんのあとがきに

「空の下で、樹のことばを、聴くように見、見るように聴く」

とある。

日高理恵子さんの描く樹々は、しなやかで

じっと見つめると、心が整ってゆく。

この本に出逢ったのは、2年前に泊まったセトレ姫路というリゾートホテルの図書コーナー。

そこには厳選された趣味よい本ばかりが

集められていた。

その頃、ちょうど心がお疲れぎみで

この本はゴクゴク水を飲むように、心を潤わせてくれた。

同じ時期に、大きな木(樹齢150年の楠の木)が、おおいかぶさる売土地を見つける。

じゃーん!!

こ、これは、まさに、私へのおくりもの。

何でもドラマチックに受けとめて興奮するクセあり。

しかし、三次元には目にみえぬタイミングというものがあり、

結局その土地は、今、他のお家の建築中。

おおいかぶさっていた木の太い枝は、すっきりと伐採されている。

けどまた数年後には、にょきにょき空に模様をつくることだろう。

大きな木を見上げる行為そのものが好き。

その瞬間、何か制限のようなものが

ふわっと解除される感じになる。

「空と樹と」は、その感覚を思い出させてくれる一冊です。




2件のコメント

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